have to be tough

不都合な真実、inconvinient truthという映画があります。

 

いいファンドマネージャーの条件、というものが幾つかありますが、そのうち、長く続けている人が必ず備えていることがあります。

 

それが、自分に不利な事実、不都合な真実を受け入れる、という能力です。

 

「ふつう」、人間は、自分の選択に対して、得られた結果・効果が、当初の自分の意図に沿ったものであることを願うため、メガネが曇ります。

 

なぜかというと、すでに起きてしまったことというのは、ほとんどの場合、覆すことが難しいので、起きた結果を、どう都合よく解釈するか、ということだけが、適用可能なソリューションだからです。覆水盆に返らず。

 

あるいは、自分の選択、及び結果を、自分自身の価値に紐付けて考えがちです。

 

この合理化が行われる場面として、愛国心愛社精神があります。生まれてしまった国、入ってしまった会社を覆すことが難しい場合、多少の不満があろうとも、「愛」で蓋をするほかない。自分が入っている箱を否定することは、自分を否定することに等しいと考えてしまいがち、ということですね。そんなことないんですけどね。

 

見てしまったものを見なかったことにすることは、しばしば、問題の拡大や、延焼、隠蔽のための隠蔽を招きます。不祥事件。

 

そして、(今のところ)絶対に、覆せない(時に不都合な)事実が、自分が自分である、ということです。

 

ファンドマネージャーポートフォリオマネージャーというのは、マネージしているのが、ポートフォリオなのか会社なのか、という違いこそあれ、自己完結した意思決定を連続的に行い、また執行していく、という意味で、経営者と同様のマインドセットが必要とされます。ただし、基本的には、人を動かす必要がないので、ハードルとしては、格段に低い。自己完結した意思決定に、他人を巻き込む、ということの恐ろしさは、忘年会の幹事やるだけでも、そこそこ味わえますw

 

連続的に実施する全ての意思決定において、常に狙った結果を得るのは不可能です。つまり、意思決定は、時に失敗する。

 

そうなんです。ファンドマネージャーの必要条件の一つが、自身の意思決定の失敗の可能性を、いかに早く嗅ぎ取り、modifyするのか、あるいは、止めを刺すのか、という、非情な決断が下せること、です。

 

非情、と書いた通り、この決断に情緒、感情、すなわち、短期的な最適化が介在する余地はありません。中期的に、詰んだのかどうか、冷静にジャッジする必要がある。このジャッジ自体もまた失敗のリスクを孕む。

 

こんな芸当は、実績と思い込み/勘違いに裏付けられた自信がなければ、到底不可能です。自信なさげなポートフォリオマネージャーや会社経営者がいたら可笑しいw

 

独善的に見えたとしても、やんなきゃいけないわけですわ。その結果が、取り返しのつかない失敗で、人から投石を受けたり、罵声を浴びせられたとしても、ね。性格が悪くなるのも無理はないww